30代からの日本留学は遅くなかった ㅣ 東京で過ごした10年が、私の人生を変えた
今なら30代から海外で学び直したり、新しい仕事に挑戦したりすることは、それほど珍しくないかもしれません。
けれど当時の私にとって、日本への留学は決して小さな決断ではありませんでした。
「今から行くの?」
「もう少し安定してからでもいいのでは?」
周囲から心配されることもありました。
私自身にも、不安がなかったわけではありません。
それでも心のどこかに、
「このままではなく、新しい人生を始めてみたい」
という気持ちがありました。
あのとき東京行きの飛行機に乗ったことが、その後の私の人生を大きく変えることになるとは、まだ知りませんでした。
30代からの留学は、遅かったのでしょうか
今振り返ると、30代だったからこそ見えたものもあったように思います。
若さだけで飛び込むのとは少し違って、自分なりの人生経験もありました。
その一方で、新しい言葉、新しい文化、新しい人間関係の前では、また一から学ばなければなりません。
できないこともたくさんありました。
言いたいことがうまく伝わらない。
日本では当たり前のことが、自分には分からない。
そんな小さな戸惑いの連続でした。
でも、それは決して恥ずかしいことではありませんでした。
知らないことを知り、できなかったことが少しずつできるようになる。
大人になってから、もう一度「学ぶ人」に戻れたこと。
それ自体が、私にとって大きな経験だったのだと思います。
東京で始まった、小さな新婚生活
結婚とほぼ同時に、東京での新婚生活も始まりました。
決して余裕のある暮らしではありませんでした。
アルバイトをしながら、小さなアパートで二人の生活を始めました。
それでも、不思議とあの頃の記憶には温かいものが多く残っています。
週末になると二人で近所のスーパーへ買い物に行く。
家に帰って韓国料理を作る。
食卓を囲みながら、韓国の家族や故郷の話をする。
今思えば何でもない日常です。
けれど、知らない土地で暮らし始めた私たちにとって、その何でもない時間こそが大切でした。
不慣れな場所だからこそ、妻と私はお互いにとって一番身近な味方だったのだと思います。
東京で、私たちは「家族」になりました
東京での10年間を振り返ったとき、何より忘れられない出来事があります。
第一子が東京で生まれたことです。
病院の廊下で待っていたときの緊張。
そして初めて産声を聞いた瞬間。
あのときの感情は、長い年月が過ぎた今でも不思議なくらい鮮明に残っています。
日本で生まれた子どもには、韓国語や韓国の文化も伝えたいと思いました。
けれど同時に、子どもが育っていく東京の街も、少しずつ私たち家族の風景になっていきました。
子どもを抱いて歩いた公園。
近所の道。
いつものスーパー。
季節が変わるたびに表情を変える街。
いつしか私は、
「ここも、私たち家族の故郷なんだ」
と思うようになっていました。
日本での暮らしから学んだこと
東京で暮らしていると、日本の日常には独特のリズムがあることに気づきました。
朝の静かな挨拶。
人に迷惑をかけないようにする気遣い。
季節とともに変わっていく街の風景。
春になると桜が咲き、秋になると木々が色づく。
長く住むうちに、そうした風景が「外国の景色」ではなく、自分の日常になっていきました。
日本の方々と接するなかで、誠実さや細やかな気配りから学ぶこともたくさんありました。
もちろん、良い思い出だけではありません。
言葉が十分に伝わらず悔しい思いをしたこともあります。
文化や考え方の違いに戸惑ったこともあります。
外国で暮らすということは、旅行とは違います。
楽しいことだけではなく、その社会の中で生活し、人と関わり、時には失敗しながら自分の居場所をつくっていくことなのだと思います。
でも、その一つひとつが、少しずつ私を変えていきました。
10年後、東京は「第二の故郷」になっていました
留学先としてやって来た東京。
気がつけば、10年という歳月が流れていました。
そこで結婚生活を送り、
子どもが生まれ、
一つの家族として成長しました。
東京は、いつの間にか単なる「外国の街」ではなくなっていました。
今でも、ときどき東京の街を思い出します。
賑やかな渋谷。
静かな住宅街。
家族で歩いた道。
子どもを抱いて散歩した公園。
もし誰かに、
「30代になってから日本で新しい生活を始めたことを、後悔していませんか?」
と聞かれたら、私は迷わず答えると思います。
「あの10年があったからこそ、今の私があり、私たちの家族がいる。」
東京は私にとって、単なる留学先ではありません。
人生の大切な一章であり、
今でも心の中に残る第二の故郷です。
「もう遅い」と思ったときに、思い出すこと
30代で日本へ。
その後、人生はさらに別の場所へと続いていきました。
今はカナダで暮らしながら、韓国、日本、カナダという三つの場所で経験したことを、このブログに書いています。
振り返ると、私の人生には何度か「今からでは遅いのではないか」と思う瞬間がありました。
でも、東京へ向かったあの日もそうでした。
未来がどうなるか分かっていたから挑戦したのではありません。
分からなかったけれど、一歩踏み出してみた。
ただ、それだけでした。
そしてその一歩から、10年の東京生活が生まれました。
家族が生まれました。
今につながる経験が生まれました。
だから最近は、こう思います。
人生の新しい章は、年齢で始まるのではなく、自分が一歩踏み出したところから始まるのかもしれない。
いつか、もう一度「ただいま」と
いつの日か、家族と一緒にもう一度東京を歩いてみたいと思っています。
昔暮らした街は、きっと大きく変わっているでしょう。
それでも、懐かしい道を歩けば、あの頃の自分たちに少しだけ会えるような気がします。
そして東京に着いたら、
「久しぶり」ではなく、
こう言ってみたい。
「ただいま。」
私にとって東京は、今でもそんな場所です。
For You Plus Alpha
韓国、日本、そして現在暮らしているカナダ。
三つの国で経験してきた暮らしや文化、健康、ウェルビーイング、お金、そして人生について、自分自身の経験も交えながら発信しています。
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