30代からの日本留学は遅くなかった ㅣ 東京で過ごした10年が、私の人生を変えた
1989年、30歳を過ぎた私は、東京行きの飛行機に乗りました。 今なら30代から海外で学び直したり、新しい仕事に挑戦したりすることは、それほど珍しくないかもしれません。 けれど当時の私にとって、日本への留学は決して小さな決断ではありませんでした。 「今から行くの?」 「もう少し安定してからでもいいのでは?」 周囲から心配されることもありました。 私自身にも、不安がなかったわけではありません。 それでも心のどこかに、 「このままではなく、新しい人生を始めてみたい」 という気持ちがありました。 あのとき東京行きの飛行機に乗ったことが、その後の私の人生を大きく変えることになるとは、まだ知りませんでした。 30代からの留学は、遅かったのでしょうか 今振り返ると、30代だったからこそ見えたものもあったように思います。 若さだけで飛び込むのとは少し違って、自分なりの人生経験もありました。 その一方で、新しい言葉、新しい文化、新しい人間関係の前では、また一から学ばなければなりません。 できないこともたくさんありました。 言いたいことがうまく伝わらない。 日本では当たり前のことが、自分には分からない。 そんな小さな戸惑いの連続でした。 でも、それは決して恥ずかしいことではありませんでした。 知らないことを知り、できなかったことが少しずつできるようになる。 大人になってから、もう一度「学ぶ人」に戻れたこと。 それ自体が、私にとって大きな経験だったのだと思います。 東京で始まった、小さな新婚生活 結婚とほぼ同時に、東京での新婚生活も始まりました。 決して余裕のある暮らしではありませんでした。 アルバイトをしながら、小さなアパートで二人の生活を始めました。 それでも、不思議とあの頃の記憶には温かいものが多く残っています。 週末になると二人で近所のスーパーへ買い物に行く。 家に帰って韓国料理を作る。 食卓を囲みながら、韓国の家族や故郷の話をする。 今思えば何でもない日常です。 けれど、知らない土地で暮らし始めた私たちにとって、その何でもない時間こそが大切でした。 不慣れな場所だからこそ、妻と私はお互いにとって一番身近な味方だったのだと思います。 東京で、私たちは「家族」になりました 東京での10年間を振り返ったとき、何より忘れられない出来事があります。 第一子が東京で生まれたことです。 病...