日本で10年間暮らして気づいたこと ㅣ 長寿を支えているのは、食事だけではありませんでした
「日本人はなぜ長生きなのだろう」
日本へ留学した頃、私はよくそんなことを考えていました。
当時から日本は長寿国として世界的に知られ、多くの人がその理由を和食や魚中心の食生活、温泉文化などに求めていました。
もちろん、それらは大切な要素だと思います。
しかし約10年間日本で暮らしてみると、私が最も印象に残ったのは食べ物ではありませんでした。
それは、ごく普通の日常の中にある「生き方」でした。
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健康は一日ではつくられない
日本では、駅まで歩く人が多く、公園では朝早くから散歩やラジオ体操をする高齢者の姿をよく見かけました。
買い物へ行くにも歩く。
電車では階段を使う。
特別な運動ではなく、生活そのものが自然と体を動かす習慣につながっているように感じました。
最近では世界保健機関(WHO)をはじめ、多くの研究でも、日常的な身体活動は健康寿命の維持に重要であると報告されています。
健康は特別なことではなく、毎日の積み重ねの中で育まれていくものなのだと思いました。
「腹八分目」という考え方
日本で生活していて印象に残った言葉の一つが、「腹八分目」です。
お腹いっぱいになるまで食べるのではなく、少し余裕を残して食事を終える。
これは単なる食事の量ではなく、自分の体と向き合う姿勢でもあるように感じました。
もちろん、すべての人がそうではありません。
しかし「食べ過ぎないことも健康の一つ」という考え方は、日本の日常の中に自然に溶け込んでいました。
古いものを大切にする暮らし
私が日本で暮らしていて感心したことがもう一つあります。
それは、長く使うことを大切にする文化です。
古い家具や道具を丁寧に手入れしながら使い続ける。
流行だけを追いかけるのではなく、「まだ使えるもの」を大切にする。
自然を無理に変えるより、その一部として暮らそうとする考え方も、日本らしい魅力の一つだと感じました。
今振り返ると、その価値観は人の健康にもどこか通じているように思います。
無理をせず、少しずつ、長く続ける。
そんな姿勢が暮らしの中に息づいていました。
日本で私自身が変わったこと
日本で暮らす前の私は、「健康」は病気にならないためのものだと考えていました。
しかし日本で生活する中で、その考え方は少しずつ変わっていきました。
健康とは、毎日を心地よく暮らすための土台。
特別なことを一度だけ頑張るのではなく、小さな習慣を続けること。
そう考えるようになりました。
今でも歩くことを大切にしているのは、その頃に身についた習慣があるからかもしれません。
長寿は結果であって、目的ではない
世界には長寿国がいくつもあります。
医療制度、経済状況、食文化、社会とのつながりなど、その背景は国によって異なります。
だから、「これだけをすれば長生きできる」という答えはありません。
それでも、日本での10年間を振り返ると、一つだけ確かに言えることがあります。
日本で出会った多くの人たちは、「長生きすること」を目標にしているようには見えませんでした。
目の前の暮らしを丁寧に積み重ねる。
その結果として、健康で長く生きることにつながっているように感じました。
おわりに
韓国で生まれ、日本で学び、現在はカナダで暮らしています。
三つの国で生活してきたからこそ、それぞれの良さが少しずつ見えるようになりました。
日本で学んだことは、「健康」は特別な知識ではなく、毎日の暮らしの中にあるということです。
歩くこと。
食べ過ぎないこと。
自然を大切にすること。
人とのつながりを大事にすること。
どれも決して新しいことではありません。
しかし、長く続けることは決して簡単ではありません。
だからこそ、日本で過ごした10年間は、私にとって「長寿の理由」を学ぶ時間ではなく、「暮らし方」を学ぶ時間だったのだと思います。
次回予告
熊本地震のニュースを見て、留学時代の避難訓練を思い出しました。
外国人として日本で暮らした私が、改めて考えた「備える文化」についてお話しします。







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