AIの次に世界はどこへ向かう?|SMR・宇宙産業から読む「未来産業」の大きな波
AIという言葉を聞かない日は、ほとんどなくなりました。
仕事、検索、医療、教育、買い物。
私自身も今では、文章を書いたり、企業や市場について調べたりするときにAIを使っています。
でも最近、少し違うことを考えるようになりました。
AIそのものではなく、AIが広がった先に何が必要になるのだろう?
AIを動かすには、巨大なデータセンターが必要です。
データセンターを動かすには、膨大な電力が必要になります。
そして世界をさらに広く見れば、通信、位置情報、気象観測、物流などを支える宇宙インフラも、私たちの生活との距離を縮めています。
未来産業を見るとき、大切なのは「次に何が上がるか」だけではなく、「社会が変われば、次に何が必要になるのか」を考えること。
今回は、カナダで実際に動き始めたSMR(小型モジュール炉)と、急速に商業化が進む宇宙産業から、その大きな流れを考えてみます。
AIが成長すると、なぜ「電力」が重要になるのか?
AIはデジタルの世界に存在しているように見えます。
しかし、その裏側には巨大な物理インフラがあります。
データセンターです。
国際エネルギー機関(IEA)は、世界のデータセンターによる電力消費が2030年には約945TWhに達し、2024年から倍以上になると予測しています。
AIの普及は、その増加を押し上げる重要な要因の一つです。
つまり、
AI → データセンター → 電力需要
という、もう一つの流れが見えてきます。
AIについて考えることは、半導体やソフトウェア企業を見ることだけではありません。
AIが大きくなればなるほど、それを動かす「電気をどう確保するか」という現実の問題も大きくなる。
ここから、エネルギーというテーマが浮かび上がってきます。
そこで注目される「SMR」とは?
SMR=Small Modular Reactor
日本語では一般に小型モジュール炉と呼ばれます。
従来の大型原子炉より小型化し、モジュール化などによって建設や導入方法の柔軟性を高めようとする原子炉です。
ただし、
「小さい=簡単」「新しい=必ず成功する」
という話ではありません。
原子力には、安全性、建設費、規制、廃棄物、工期、社会的受容など、慎重に考えなければならない課題があります。
それでもSMRが注目される背景の一つには、安定した低炭素電源をどう確保するかという世界的な課題があります。
IEAも、データセンター向け電力需要を満たすうえで再生可能エネルギー、天然ガスなど複数の電源が必要になり、原子力の役割も2030年代にかけて増える可能性を示しています。
カナダではSMRが「構想」から「建設」へ
このテーマを私が興味深く感じる理由の一つは、今暮らしているカナダで実際にプロジェクトが進んでいることです。
オンタリオ州のDarlington New Nuclear Projectでは、Ontario Power Generation(OPG)がGE Vernova HitachiのBWRX-300を採用しています。
2025年4月、カナダ原子力安全委員会(CNSC)は最初の1基について建設許可を発行しました。
そして2026年現在、これはもう単なる計画ではありません。
CNSCは現在の状況を**「1 unit under construction」**としています。
2026年3月30日には、原子炉建屋の基礎設置に関する最初の規制上のホールドポイントも解除されました。
OPGによると、2026年夏には原子炉建屋の建設が基礎部分から上方向へ進み、現場工事がさらに進展しています。
私にとってSMRは、ニュースの中だけにある未来技術ではなく、カナダで現実に建設が進んでいる産業になりました。
韓国、日本、カナダを行き来して暮らしてきたからこそ、こうした変化を「投資テーマ」だけではなく、国のエネルギー政策や産業構造の変化として見てみたいと思っています。
では、SMR関連企業に投資すればいい?
ここは、とても大切です。
答えは、
それほど単純ではありません。
産業が成長することと、特定企業の株価が上がることは別の話です。
どれほど有望な技術でも、
建設コスト
規制
工期の遅延
競争
資金調達
技術的リスク
などによって、企業の収益や株価は大きく変わります.
「未来産業だから買う」のではなく、「なぜ成長するのか、誰が利益を得るのか、どんなリスクがあるのか」を考える。
これが、私が未来産業を見るときに忘れたくない視点です.
もう一つの大きな波、「宇宙産業」
宇宙と聞くと、以前はロケットや宇宙飛行士を思い浮かべました.
でも今の宇宙産業は、それだけではありません.
衛星通信
GPS・位置情報
地球観測
気象データ
物流
農業
災害監視
など、すでに地上の暮らしや産業と深くつながっています.
World Economic ForumとMcKinseyの共同研究では、世界の宇宙経済は2023年の約6,300億ドルから、2035年には約1.8兆ドルに成長する可能性があると予測されています.
興味深いのは、成長の中心がロケットだけではないことです.
通信、位置情報、ナビゲーション、地球観測など、宇宙技術を地上で利用するサービスの広がりが大きな役割を果たすとされています.
NASAも民間企業による国際宇宙ステーションへのミッションを進めており、2026年にはVastを6回目の民間宇宙飛行ミッションに選定しました.
宇宙は、少しずつ
「国家が挑戦する場所」から「民間企業も事業をつくる場所」
へ広がっているのです.
SMRと宇宙産業に共通しているもの
一見すると、
原子力と宇宙。
まったく違う産業に見えます.
でも、投資という視点から見ると共通点があります.
① 巨大なインフラが必要
どちらも、大きな資金と長い時間が必要です.
② 政府と民間企業の両方が関わる
規制や国家政策の影響を強く受ける産業です.
③ 技術だけでは成功が決まらない
優れた技術があっても、コスト、規制、市場、資金調達が伴わなければ事業化は難しくなります.
④ 成長には時間がかかる
今日注目されたから、明日利益になるとは限りません.
だからこそ、
未来産業を見るときほど、「期待」と「現実」を分けて考える必要があります。
私は「次の大化け株」より、大きな流れを見たい
若い頃の私は、投資についてほとんど考えずに暮らしていました.
カナダで生活するようになってから、TFSAなどの制度を知り、少しずつ資産形成について考えるようになりました.
そしてAIを使うようになった今は、以前なら難しく感じた産業についても調べられるようになりました.
SMRとは何なのか.
AIと電力需要にはどんな関係があるのか.
宇宙産業では、どこで実際のビジネスが生まれているのか.
分からないことを一つずつ調べていく.
でも、ここでも6番の記事で書いたことと同じです.
AIは情報を集める手伝いをしてくれる。
でも、最後に判断するのは自分です。
私は「次に何倍になる株」を当てたいというより、
世界のお金と技術が、これからどこへ向かおうとしているのか。
その流れを理解したいと思っています.
未来産業を見るときの5つの質問
新しい産業や企業が話題になったとき、私は次のように考えると整理しやすいと思います.
① なぜ、この産業が必要になるのか?
一時的なブームなのか、それとも社会構造の変化なのか.
② 実際に市場は生まれているのか?
ニュースだけではなく、顧客や売上、プロジェクトが存在するのか.
③ 誰がお金を払うのか?
政府なのか、企業なのか、一般消費者なのか.
④ どんなリスクがあるのか?
規制、競争、資金、技術、工期などを考えます.
⑤ 期待はすでに価格に入っていないか?
良い会社でも、価格が高すぎれば良い投資になるとは限りません.
「成長産業」と「良い投資先」は、必ずしも同じではありません。
この一文は、未来産業を見るときほど覚えておきたいと思います.
最後に|未来を当てるより、未来を読む
10年後、SMRがどこまで普及しているのか.
宇宙産業がどれほど大きくなっているのか.
誰にも正確には分かりません.
予測は、あくまで予測です.
でも、
AIが広がれば電力が必要になる.
世界がつながれば通信やデータの価値が高まる.
社会が変われば、新しいインフラが必要になる.
そうした大きな因果関係を考えることはできます.
投資とは「未来を当てるゲーム」ではなく、変化を学びながら自分なりの判断を積み重ねることなのかもしれません。
私自身、若い頃にはこんなふうに世界の産業を眺めることはありませんでした.
だから今、AIという新しい道具を使いながら学んでいること自体が、少し面白いのです.
未来は分かりません.
だからこそ、
知る。比べる。考える。
そこから始めたいと思います.
For You Plus Alpha
未来産業を見るということは、
次の「当たり」を探すことではなく、
世界がどこへ向かっているのかを考えること。
よくある質問
Q. なぜAIの成長と電力需要が関係するのですか?
AIを動かすデータセンターには大量の電力が必要です。IEAは世界のデータセンター電力消費が2030年までに倍以上になると予測しており、AIはその重要な増加要因の一つとされています.
Q. SMRはすでに実用化されていますか?
国やプロジェクトによって段階が異なります。カナダ・オンタリオ州Darlingtonでは、BWRX-300の最初の1基が2026年現在建設中です。ただし運転には別途CNSCの許可が必要で、2026年3月にOPGが運転許可を申請しています.
Q. 宇宙産業はロケット会社だけですか?
いいえ。衛星通信、位置情報、地球観測、物流、農業、気象・災害監視など、宇宙技術を利用する地上のサービスも宇宙経済の重要な部分です.
Q. 成長産業なら投資しても大丈夫ですか?
いいえ。産業の成長と個別企業の投資収益は別問題です。企業の財務、競争力、株価水準、規制、技術・事業リスクなどを別に確認する必要があります.
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※本記事は未来産業や資産形成について考えるための一般的な情報を紹介するもので、特定の企業、株式、ETFその他の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資には元本割れを含むリスクがあります。







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